笹に願いを
「あ・・テレビ観る?」
「いいや。今夜は観たい番組ないし。おまえ、これ観てんじゃないのか」
「ううん。眠れそうにないからつけてただけ」
「そっか」
「なんか・・音とか話し声が聞こえてくるだけでも一人じゃないって思えるかなーと思ったんだけど。他のこと考えてばかりな状態だから、緊張も解けないし。結局眠れないことに変わりなくて。消そうか、テレビ」
「ああ、そーだな」

テレビの音が消えた途端、画面は暗くなり、周囲が静かになったことで、私はハタと気がついた。
今の私は、着古したピンクのTシャツと、膝丈の短パンを、パジャマ代わりに着てるということに。
そして、時間帯から当然ノーメイクだということにも・・・。

あぁ、今私は、この人に素顔を見られてるんだ!
心の「素」と呼ばれる部分を見られるよりも恥ずかしい・・・気がする。

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