オトナの恋は強引です!
常連さんはドラゴンと私が結婚した事を知っているけど、
たまにやって来るお客さんは、
ドラゴンがマリッジリングを付けているので驚いた声を出す。

今日も3人組の派手めな30前後のオンナノヒトのグループが
「ちょっとお、ドラゴン、いつの間に結婚したの?!」と声をあげる。
「うん?ダメだった?」とドラゴンの笑い声。
「ダメじゃないけどおー。
結婚する気は無いって、いっつも言ってたじゃん!」とちょっと拗ねた声がする。
こういう時、私はどうしたらいいのかわからなくて、
キッチンに隠れて食器を洗う。
タイガさんが
「サクラちゃん。気にすることないのに。」とクスクス笑うけど、
気になるでしょう。
売り上げに響きそうだ。

「だって、好きなオンナに逃げられそうだったからさあ、
ちゃんと、捕まえておかないとって思うだろー。」とドラゴンの笑う声がした。
「げー。つまんない。のろけ?」とオンナノヒトたちはクスクスと笑う。
「まあいいじゃん。飲みなよ。一杯奢るからさあ。」とドラゴンの笑い声が聞こえる。
「ドラゴンも普通の男だったかー。私、レッドアイー。」
「ちゃんとカッコいい独身の店員雇ってよ。私はシェリーね。
ここのシェフもいい男なんだけど、悠里ちゃんのダンナさんなんでしょう?」
「えええー、うそお。私、タイガさん狙いだったのにい!?」と声がしている。
「最近入った祐介は19だけど。」とドラゴンが言う。
「19さいかー。イケメンでも若すぎでしょー。」と賑やかだ。

料理が出来上がって、持って行って。とタイガさんに言われる。
私が顔をしかめたのは無視だ。
私は指輪を外してポケットに入れてから、料理を運ぶ事にした。
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