真面目で冷淡な彼が豹変するとき
中邑くんの隣には、同じ一年生の子だろうか、一緒に並んで歩いている。

それがすぐに目に入り込んだから。



内容は聞こえないけれど、なにやら楽しそうに話しながら歩いている二人。

そして隣を歩く子に向かって笑みを零す、中邑くんの横顔が私の目に映った。


それは、とても優しい笑顔。


私に向ける笑みよりも、もっともっと自然で楽しそうな表情だった。



私の歩く足が止まる。


ズキン、と胸が締めつけられるように痛くなった。



……彼女、なのかな。

きっと、彼女なんだよね。


だって、あんな笑顔見せるのなんて、きっと彼女だけだもん。



私、中邑くんのこと何も知らないし、冷たく色んな女の子の告白を断っているって聞いてたから、勝手に彼女がいないと思い込んでしまってたけど。


でも、中邑くんにはちゃんと彼女がいて。

あんな笑顔を見せられる彼女がいて。



だから、女の子の告白を断っていたのかもしれない。



「ははっ……」


……なにやってんだろう、自分。


なにひとりで舞い上がってたんだろう。


……恥ずかしい。
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