真面目で冷淡な彼が豹変するとき
征矢南(そやみなみ)、高校二年生。

期末テストでまさかの赤点2つを叩きだしてしまった私は、只今、放課後絶賛勉強中。


数学と英語。

決して得意な分野ではないけれど、まさか赤点を取ってしまうとは思わなかった。


追試は一週間後。
それまでになんとかしなくちゃいけない。

だから授業が終わっても、学校が閉まるギリギリまでこうやって図書室に篭って勉強しているわけだけど……。


確かに今日はうるさかった。

私の後ろに座る女子二人、……リボンの色から見て三年生。

その二人がひそひそどころではない、私にまで聞こえるくらいの声のトーンで話をしていた。

やれ彼氏が冷たいだの、別れて新しい男を見つけたいだの。

そんなもん図書室じゃなく、別な場所でも話せるでしょって内容。

確かに私も気が散って、イライラしてた。

単語を覚えたいのに、その話が嫌でも耳に入ってなかなか頭に入って来ない。



――注意したい。


でもチキンな私じゃ注意できない。


私が気にしないようにすればいい、そう思いながら机に向かっていた。



そんな時、その二人に向かって果敢にも声を上げた男。

彼は学校で有名な人だった。
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