家族じゃなくなった日。


「おはようございます!」


「おはよう!優香ちゃん今日も可愛いね♪」


「もうっ、やめてくださいって!」


立花さんと挨拶すると決まっていつも同じ返事



彼なりの私の緊張ほぐしで言ってくれている。


けど、少し返事に困る。

私はデスクについて昨日の仕事の続きに取りかかる。



…と、違和感を感じる。

辺りを見回すと、向かいのデスクの上のダンボールが1つ増えていた。


そして、よく見ると黒い髪と光に反射した眼鏡が見える。



「あらぁ〜!藤田くん、もう帰ってきてたのねぇ〜‼︎」



「あ、佐藤さん。おはようございます。あっ、あと、これいつもお世話になっているお礼です。」



そう言うと彼は4段目のダンボールから桜色の袋を取り出す。


「佐藤さんの好きなマカロンです。」


「あらあらまぁまぁ!ありがとう‼︎早速、今日頂いちゃうわね♪」


「喜んでもらえてよかったです。」


マカロンを頂いて片手を頰に重ねているところで、私は佐藤さんと目が合う。



「おはようございます。」

「優香ちゃんおはよう!」


私は藤田さんの方を見た。


「あの方が藤田さんですか?」

「そうそう。あ、そういえば優香ちゃんは藤田くんと初対面だったわよね?藤田くん、こちら山本優香さん。藤田くんがいない時に入ってきた新入社員よ、仲良くしてあげてね!」


「わかりました。」

「山本優香です、よろしくお願いします!」


「藤田 翔太郎(フジタ ショウタロウ)です。よろしくお願いします。」


彼はそう言って私の手を握る。

大きな手だった。


背も立花さんより高くて、180㎝はあるだろう。

黒髪と切れ長の目。
スッと通っている鼻立ち。


…要するにイケメンで。

私はまた他の女子社員の目線を感じる。


そこに仕事を中断した立花さんも来る事だから、ますます目線は痛くなった。




< 10 / 18 >

この作品をシェア

pagetop