【短】甘えたがりな彼氏サマ




それが橋本の優しいところというか、好きなところの1つだけど。




「…言わなくてもわかってるくせに」

「まーね。そんな耳まで赤くしてんのに断られたら俺泣いちゃう」



う…。耳まで赤いのか、私。


恥ずかしくなってますます橋本の腕の中に顔を埋める私に、また頭上からクスッと笑う声が聞こえた。




「希恵の帰宅時間もあるし、早くしなきゃね?」

「〜〜…ッ、ばか」

「はいはい、どーせ俺はバカですよーだ」




こういう時だけ橋本の方が立場が上なのがズルい。


キスの下りまでは、私が優勢だったはずなのに。





「好きだよ、希恵。大好き」

「私も、風磨のこと大好きだよ」



でも、たまには逆っていうのもありかもね。





「ったく…。そういう時だけ名前で呼ぶもんなー」

「それ、人のこと言える?」




甘えたがりの風磨だけど、私にだってその特権はある。




だから。






「風磨……早くして?」


「…ッ!?」





今からは、私が甘える時間。







【Fin.】





< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop