【完】素直じゃないね。
宙くんの言い方から察するに、違うクラスの人だろう。
他のクラスにほとんどと言っていいほど知り合いがいないあたしは、首を捻りながら、廊下に向かう。
呼びだしなんて、一体なんの用だろうか。
検討がつかないまま廊下に出たあたしは、その人の正体がわかった瞬間、思わず顔を綻ばせた。
「充樹先輩!」
「つっちゃん、昨日ぶりだね」
あたしを呼びだした人──それは充樹先輩だった。
ひらひらと手を振る充樹先輩に駆け寄る。
「どうしてここに?」
「つっちゃんに会いたかったからだよ」
さらりと、ドキンとするようなことを言う。
口が上手いなぁ、充樹先輩は。
やっぱり、女子の扱い慣れてる。
お姉さん三人もいるって言ってたし。