【完】素直じゃないね。


その時ふと、側を歩いていく女子たちが、充樹先輩の方を振り返っていることに気づいた。


「充樹先輩」


「ん?」


「充樹先輩って、モテるんですね」


正直、出会った時の変人という印象が強すぎて、モテるっていうイメージがなかった。


でもたしかに、顔はかっこいいもんな、この人。


すると、充樹先輩がなにかを企んでいるようにニヤニヤしてあたしの顔を覗き込んできた。


「つっちゃん、ヤキモチ妬いちゃう?」


思いがけない問いかけに、あたしは驚いて目を見開いた。


「は、はっ? どうしてそうなるんですか!」


「え〜? 妬かないの〜?」


「妬きませんよ。
好きな人……いるし」


「……え? 好きな人?
それってだれ?」


さっきまであれだけふざけていたのに、充樹先輩の瞳に突然そらせないほど真剣な色が宿った。

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