【完】素直じゃないね。
「なんで高嶺が……っ」
張り上げたあたしの声に、高嶺が振り返る。
「あいつに渡すんだろ」
「……っ」
たった一言で、あたしの言葉を封じ込める。
高嶺は、いつだってそう。
高嶺は上体の向きを戻すと、再び川の中を進んでいく。
痛くなるほど冷たいはずなのに、濡れてしまうのに。
目の奥が、ジンと温もりを持った。
冷たい風が目にしみるからじゃない。
高嶺のせいだ。
ぎゅっと拳を握り、川を進んでいく高嶺の姿を見守る。