専務に仕事をさせるには

「もう宮沢さん虐めないの!」と社長が言うと宮沢さんは大笑いする。


私は腰を折ったまま顔だけ上げると社長は微笑んでくれる。


え?

ひょっとしてクビは免れた?


「クビなどしないから安心して座りなさい」


「ホント?… あっすいません! 本当ですか?」


社長の言葉に思わずタメ口で応えてしまい言い直す。


「ええ。 本当よ。 私の為に要を叱ってくれたんですものね? むしろ感謝してるわ」


良かった!

社長に感謝してるって言われると少し照れるな。

うふふ。


「でも社長、このまま何も処分が無いのもどうかと? なにせ専務を殴ったんですから?」


「そうね…」と社長は腕組みをして考えている。


「瀬戸さん? 1つ聞いてもいいかしら?」


「はい…」


「要とはどんな関係? 付き合ってるの?」


私は顔を横にブルブルと振り


「付き合ってるなんてとんでも無いです! 昨夜ホテルのバーで友達と飲んでいたんですけど、私が酔っぱらってしまったのを偶然居合わせた専務が部屋で休ませて下さったらしくて… 朝、お礼を言って帰ろうとした時に名刺を渡されて専務と知ったんです。 それで会社の話でちょっと専務にお説教と言いますか… すいません! 自分の立場をわきまえもしないで」と頭を下げる。


私は嘘は言っていないよね?

ちょっと言葉足らずの所もあるけど?

これ以上余分な事は控えたほうが身の為だもん。


「そう? あなたのお説教が要には効いたのね?」


「いや… 効いたかどうか…」


だって今夜食事に行く条件付きで会議に出たんだし…

私のお説教は微妙だと思いますよ?





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