この広い世界で、2度目の初恋を


「でもよー、いつの間に名前で呼ぶ仲になったんだよー??」

私達の前の椅子に座って、樹くんの机に肘をつく亮くん。

亮くんは、雰囲気が明るくて気さくな人だな……。

クールな感じの樹くんとは正反対かも。


「いーだろ、別に」

「いくねーし!!俺ら親友じゃん!!」

親友……なんだ。

確かに仲良しだと思ってたけど、親友だったのは知らなかった。

そう思うと、つくづく私は樹くんの事を知らないんだなと思った。


「あ、それともあの罰ゲームがきっかけで、本気で好きになっちゃったとか!?」

「罰ゲーム……??」

亮くんの言葉に、私は首を傾げる。

すると樹くんは、慌てたように立ち上がって、亮くんの口をガバッと手で塞いだ。

その勢いで、教室にガタンッという椅子の倒れる音が響き渡る。

「………関係ねーよ、それは。亮ちゃん、それ以上喋るなよ、分かったか?」

「へ……はい、ワカリマシタ」

樹くんのものすごい剣幕に、亮くんが凍りつく。

樹くん……?

どうして、そんなに焦ってるの?

ううん、焦ってるって言うより、恐れてる…のほうが近いかもしれない。




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