この広い世界で、2度目の初恋を

私だけのヒーロー



次の日の昼休み、お弁当を片手に、保健室へと向かう。

実は、この学校で唯一、私の味方がいる。

それは、保健室の鈴原 瑞希(すずはら みずき)先生、33歳の男性で物腰の柔らかい人だ。


私といて噂が立ってしまった事があったけれど、それでも「言いたい人には言わせておいたらいいよ」と、変わらずに接してくれている、理解者。


廊下を足早に歩きながら、今日を振り返る。

実は、午前中の授業中も、授業と授業の間の10分休憩でさえ、私に話しかけようと宇佐見くんが声をかけてきたのだ。

そんな宇佐見くんを、私は徹底的に無視した。

だけど、やっぱり懲りずに……。

「おーい、添田!!」

「なんなの、もう……」

振り返ると、袋を手に下げた宇佐見くんが私に駆け寄ってきた。

それも、廊下のど真ん中で、人気者の宇佐見くんとイジメられている私の、なんともいえない組み合わせ。


視線を集めないはずがないのに……。

うんざりして、私は止まらずにそのまま保健室へと歩き続ける。

すると、隣に宇佐見くんが並んだ。



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