この広い世界で、2度目の初恋を


宇佐見くんに視線を向けると、それに気づいた宇佐見くんも私の方を向いた。

『やったな』

クチパクでそう言った宇佐見くんは、またニッと笑って、いたずらが成功したみたいな顔をしている。


その無邪気な笑顔を見た瞬間、胸がドキンッと大きく音を立てて跳ねた。

宇佐見くんって、こんな風に笑うんだ……。


不思議、そんな宇佐見くんの笑顔を見ていると、心がポカポカと温かくなるから。


こんなに、誰かを頼もしいと感じたのは初めてだ。

宇佐見くん、守ってくれてありがとう……。

本当に、宇佐見くんは私のヒーローだよ。

授業が終わったら、まっさきに『ありがとう』と伝えよう。

そう、心に決めて、前よりしゃんと背筋を伸ばして、数学の授業に集中した。


< 41 / 300 >

この作品をシェア

pagetop