好きなんていえないよ
応援してね
――陽side――

目を覚ますと見知らぬ天井だった

白いシーツがかけられたベッドから起き上がると保健の先生がカーテンを開けのぞき込んだ

「神崎さん大丈夫?倒れて保健室くるの初めてでしょ」

たしかに今まで擦り傷や打撲でしょっちゅう保健室に来ていたがベッドで寝た事はなかった
だるい、気持ち悪いとかはないかと聞かれたが特に何も無かった

6校時目も終わり、みんな部活に勤しんでいる時間帯だった

熱を計っていると未咲が私のカバンを持って迎えに来てくれた

「平熱、よかった〜、でも部活は参加しちゃだめね?監督からそう言われたから」

「え、でも…」
「だめったらだーめ、ドーナツ買ってあげるから」

「え!まじ!?じゃ帰る!」
「まったくひなたは〜!」
カバンを受け取り保健室の先生にお礼を言うとドーナツ屋に向かった

――未咲side――

通い慣れたドーナツ屋に着くとおすすめを二つ買った

「はい!いつも買ってくれるからおまけ!」
「ほんと!?ありがとうございます、おねぇさん!」

「あそこのベンチ行こ」
陽の指定した公園のベンチに座ると陽は早速、もっチーズリングにかぶりついた


「おいしぃ〜!」
1年間友達をやってきてわかったこと。
陽は鈍感、忘れっぽい、倍返し、バスケ馬鹿、好きな事はとことんのめり込む
でも飽きっぽい、甘いものは大好き

そして、ショートカットで男勝りだけどすごく可愛い

私の大切な友達

そんな友達に今嘘をつく

ごめん、これだけは譲れない

「あのねひなた…」

「ん〜?」

「私、朝馬くんのこと好きになった」

うそ、ずっと前から見ていた、好きだった

ユニーフォームで汗を拭う姿もシュートを打つ姿もかっこよくて

自分のチームを応援するのも忘れて見ていた

ずっと彼の隣にいたあなたに嫉妬して…


陽の喜びでピンクに染まった頬がみるみる白くなり口が止まった

ごめんひなた

私の好きは止められない
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