「15―イチゴ―」
「忘れられない名前」
「好きなんだからいいだろー!
糖分補給だよっ!糖分補給っ!」
そう言って、パンをひとくちかじった瞬間、屋上の扉が開いて女の子4人が姿を現した。
そのうちの1人と目が合ってドキッとした。
やっと直った黒ぶちのメガネによって、
遠くからでもハッキリと見える苺の姿──。
──葵本だ。
葵本 苺──。
入学式の記憶が忘れられない俺は、すぐにその女の子が誰だか分かった。
自己紹介の時から忘れられない名前──。