からっぽ。
久しぶりに、お酒を飲んだ。


前に勤めていたお店に行った事と、土日は正行さんに会えないし、明日は昼間の仕事が休みだったから……

私は少し酔っていた。


一緒に飲んでいた、お客さんと別れ、夜風が気持ち良かったからか、私はフラフラと夜の街を歩いている。



「あぁ…」


“s”の看板。


『友達の彼氏だしなぁ……。
たまには、顔を出しておくかぁ』


軽い気持ちで、ドアを開ける。


「いらっしゃいませ。
あっ、歩実さん。
香子ママ、今帰った所なんですョ……」


待ち合わせだと思ったらしく、坂下はそう言った。



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