今日から魔王はじめます!
二つ三つウィッグを取り出して、ブロンドのかつらを頭に手に持つ。


それ以外のかつらはバッグにつめて、今度はサングラスに似た色つき眼鏡をかけた。


そして服は、動きやすいように制服に。それから、フーデッドケープを被る。



ここにいてはいけない。


いつまでもここで庇護されたままでは、変えたい世界も変えられない!


動こう。覚悟を決めて。



私は、仮だとはいえ…第13代目魔王だ!



その時、コンコン、とノックが聞こえた。


びくっ、と体を強ばらせると、入ってきたランスさんが目を見開いた。



「陛下!?なんですかその荷物は…一体何を」


「来て、不死鳥(フェニックス)!!」



ランスさんの声を遮って、窓を開け放つ。


新鮮な空気とともに、黒い炎が流れ込んできた。


そして目の前に現れるのは、煌々と輝く幻獣、不死鳥。



『おや…随分早いお呼び出しですね、陛下』


「愛美でいいよ!


…お願い、少し背中に乗せて!行きたいところがあるの!!」



2回目からの召喚に、複雑な魔法陣がいらなかったことを安堵しながらそう言うと、


後ろからランスさんの声が再び響く。
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