「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 

4.耳に届いた音色




目を開けるとそこは何処かの天井。



モノクロで世界に取り残された感覚はさらに深まって、
また願いが適わなかった事に絶望した。



……なんで……まだ生きてるんだろう。





あの光が私を消してくれるってあの時間は思えたのに……。


私はただ、この世界から消えたいだけだったのに。



ゆっくりと体を起こそうとした時、指先に触れた布の感触。
包帯が腕と首筋に巻かれていた。



周囲を見渡して今、自分がいる場所を確認したとき、
此処が病院なのだと認識した。




死ねなかった命。
助けられた命とは到底思えなかった。



死ねなかった命。
死ぬことすら許されなかった命。




あの時間が、この先もまだ続くことに肩を落とした。





窓際の部屋。

窓から見る外の景色も全てモノクロで、
やっぱり……何もかもから拒絶されてるみたいで悲しくなった。



どうやったら、消えれる?
思考回路はそればかり。



病院の屋上から飛び降りたら?



……神様……もし居たら願いかなえてよ。
私の命、もういらないから。

ここで生きたくても生きられなくて困ってる人と全部交換してよ。


その人にあげるから……。





声に出すことのない声は心の中の叫びへと変わり涙が頬を伝う。
生きていたくないのに頬から流れる涙は暖かい。



その暖かさがまだ自分の望みが適うことがないのだと認識させて、
余計に孤独にさせた。






「目が覚めたの?」


微かに聞こえる誰かの声。



音はくもってわかりづらかったけど、
誰かが呼んでるらしいことだけはわかった。



家族以外で久しぶりに話しかけてくれた声。




久しぶりの感覚。
失ったと思ってた感覚が微かに目覚める。


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