「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 

百花さんと唯香さんは私よりも年上のお姉さんたち。


何でも高校の先生と画廊で働いてるって話してくれた。
大学時代からAnsyalのファンで、ファン歴も私よりずっとずっと大先輩で、
話を聞いてるだけで凄く羨ましくなった。



この間、Ansyalに出逢ったばかりの私。
あんなことがなければ、多分……今もAnsyalの存在にすら気がつかなかったと思う私の生活。



あの虐められてきた中学生の時間は私にとって、
凄く辛い時間だったけど……それでも、私にAnsyalと出逢わせてくれた。

そうやって今は必死に、Ansyalとの必然の出逢いの為には
さけては通れない試練の時間だったのだと言い聞かせつづける。



ジュースを飲み干した頃には、起こりかけてた閉じこもりたい発作も落ち着いて、
お礼を伝えてその場で別れる。

ふと携帯のバイブが震える。


「もしもし、やっと繋がった。
 LIVEの日って電話繋がりにくいんだよね。

 里桜奈、今何処に居る?」

「今……楓我さんとお茶してた」

「私たち、クリスタルホールの正面側に皆でいるからおいでよ。
 総長の貴姫さんが凄く美しいから……凄くわかりやすいと思うよ」

「うん」


電話を切って指定された場所へと向かう。 

怖いの半分。
楽しみなの半分。

ドキドキしながら楓我さんと一緒に出掛ける待ち合わせ場所。

指定された場所。
視界に飛び込んで来た集団に絶句して歩みを閉じた。


そこにはCDのジャケットとかポスターで見た服装の人たちが集まってた。



えっ?

紫の髪。
あれって……Ansyalの羽?


紫や金髪や赤髪や。
メンバーの髪色にメンバーの服装を身につけた集団が聳え立つ。


「里桜奈ちゃん、どうかしたの?」


立ち止まった私に声をかける楓我さん。


「あっ……あそこに居る人たちみたい……」



思考回路停止。
脳内真っ白。

あまりの衝撃にフリーズしてる。



「居た居た。里桜奈っ!!」


その集団の中から飛び出してくる十夜の格好した人。


「やっと来た」


目の前の十夜からは紗雪の声が聞こえた。


「紗雪?」

「何いってんの。私だよ。
 Ansyalの武装モードの私。

 さっ、皆に紹介するから里桜奈来て。
 楓我さんもどうぞ」


ズルズルーっと紗雪のペースで輪の中に引きずり込まれた私。

パッと見はメンバーの姿を真似たコスプレをして怖そうなのに
話してみると凄く優しくて。


ガチガチの緊張もAnsyalの話題一つで、
その輪の中に入っていくことが出来る。


グループに受け入れられていく実感。


貴姫さんや紗雪たちがポーズを決めて写真撮影を始めると、
その周囲には携帯やカメラを持った沢山の人たちが集まってきて、
次々と写真を撮っていく。


インディーズバンドの音楽雑誌の取材のお兄さんとお姉さんまで。

いろんな人に囲まれ続けたこの目立った集団。
その集団の中に今、私も……仲間に入れてもらってる。

ちゃんと受け入れて貰えてるその喜びは、
私のテンションを上げてくれて。
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