夏の終わりの失恋歌(恋愛中毒1)
7.夏の終わり
「ねぇ、ヒコってお弁当あるんだから、わざわざ朝食食べに行かなくてもいいんだよね?」

メイクを終えた彩華は、シャワー室から出て声を掛ける。

「あれ、いつもエイジにやることになってんの。
美味しいって気に入ってるし」

「……へぇー」

ファンの子、それでいいわけ?
と、思ったが、彩華は何も言わなかった。

そういえば、もう、あの紙袋はない。
彩華の視線を見た伸彦が言う。

「さっきエイジに届けといた」

……ああ、エイジってここの1階に住んでるんだっけ。

「そっかぁ。
じゃあ、海まで付き合ってもらっても良い?」

「彩にあわせる。
ここで昼まで寝ててもいいし」

本当はどうしたいんだろう、と、彩華は伸彦の様子をうかがった。
でも、その表情からは何かを読み取ることなんて出来ない。

いつもと変わらないし。
フツーだし。

そんなにカッコイイ?
そんなに特別?

わかんない。

また、頭がぐしゃぐしゃしてきそうになったので、彩華は慌てて口を開いた。

「じゃあ海。
レッツゴー!」
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