夏の終わりの失恋歌(恋愛中毒1)
「普通だよ。かっこいいとか、声がいいとか、たまに見せる笑顔が素敵とか、特定の彼女がいないところがいいとか」

沙織は一気に言うとオレンジジュースを一口飲んだ。

「まだ聞きたい?」

「うん」

彩華の真剣な眼差しに沙織はため息をつき記憶を辿る。

「一見近づきがたいのに話し掛けると必ず喋ってくれるところとか、物腰が優雅なところとか、歌がうまいところとか、優しいところとか」

「なんか全然決め手ないんだけど。そんなの明とかわんなくない?少なくとも歌をドラムに置き換えたらそうだよ」

「元ダーリン?」

彩華がこくりと頷く。

「あの人は彩華にだけ優しいんだよ、きっと。
万人に甘い人じゃないでしょ?」
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