男の秘密 -繋がる未来-
決意
ジーンズに紺のジャケットで中のシャツは白く、普段着なのだが、忍が着るとどうしてこれ程格好良く見えるのだろうと、優は忍に釘付けになりながら思った。

それに引き換え自分はと、着替えた自分の服装を思い出す。

こげ茶色の長い裾にレースがあしらわれているスカートに、同系色のボレロと中はキナリのTシャツ。

こちらも普段着だが、忍と違い、本当に普段着に見える。

何だか見た目が忍と釣り合っていないように見えて凹みかけたが、忍の「好みは人それぞれ、俺は優の外見、凄く好みだ」という台詞を思い出した。

忍が好きだと言ってくれるなら、容姿を気にしないようにしようと思えた。

一人で葛藤した後、リビングに戻ると忍が笑顔で迎えてくれた。

二人連れ立って家を出て、最寄り駅から中心部ではなく、郊外へ向けた電車に乗った。

平日のお昼と言う事と、郊外へ向かうという事で、電車は座る事が出来た。

電車での移動は初めてで、何も無いのにドキドキと胸が高鳴る優とは逆に、落ち着いているように見える忍は、そっと、優の腰に手を回して、仲の良い恋人同士のように寄り添ってきた。

二人きりの時でも、ドキドキするのに、空いているとは言え、人が居る車内でされると心臓に悪いと優は思った。

『何処に行くのかしら?』

意識を別の所に持って行こうと、行き先を考えたが、ここから行ける場所は数え切れない。

『前のように植物園かしら』

対面の車窓を見ようと顔を上げると、前の二人連れの女性がこちらを見て、囁きあっているのに気付いた。

『まさか!忍さんだってバレた?!』

慌てて離れようとした時、二人の会話が少し聞こえて来た。

「カッコいい人だね」

「私もあんな彼氏欲しいなぁ」

というような会話だった事にホッとしたが、恋人同士で仲が良すぎるのでは無いかと思い始める。

『普通はどうなんだろう?初めてすぎて分からない。』
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