男の秘密 -繋がる未来-
「そろそろ帰ろうか」

忍の声に、現実に引き戻される。

「そうね。もう真っ暗になったわね」

暗さに慣れた目だから、お互いの顔は分かるが、少し向こうを走る車からは、二人は影のようにしか見えないだろう。

「忍さん砂が付いた足で車には乗れないわ」

優がそう言うと、忍は自販機で水を買って、それで足を洗ってみせた。

「凄いわ忍さん」

自分には思いつかない発想に驚いて声をあげる優が、可愛くてつい頬にキスをしてしまい、優は真っ赤になってそっぽを向いた。

足を洗った後は、目に付いた店で食事をしてから自宅に戻った。

自宅で寛ぐ忍の姿もこっそり写真に写した。

段々と撮られる事に抵抗が無くなって来たので、より一層自然体で移す事が出来た。
< 51 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop