ただあの子になりたくて
何かに悩んでいる素振りなど、気づいたこともなかった。
私の目は不意に下の方へと向く。
私はとことん卑怯だと思う。
この前からずっと気になっていた、右側の一番上のカギ付きの引き出し。
他の引き出しは少しずつ全部見た。
どれも椿らしく整頓されていた。
でも、そこだけは開いていない。
カギは他の引き出しの奥で見つけて、写真立ての裏に隠し置いておいた。
詳しいことを知るのが怖くて怖気づき、とうとう開けなかった場所。
体を奪っておいて、心まで覗き見るのは、とても汚い行為だろう。