山下くんがテキトーすぎて。



廊下に飛び出したのはいいものの、あと10分もしたら午後の授業が始まってしまう。


あてもなくうろうろした後、とりあえず女子トイレに身を置くことにした。



手洗い場の鏡の中の自分とにらめっこしながらさっきの出来事をふり返る。




だんだん落ち着いて冷静になってくると、あからさまに山下くんを意識してる自分の態度が恥ずかしくなってきた。



はぁーーっというため息が空間に響く。



すると数人の足音が近づいてきて、私は慌てて蛇口をひねり手を洗ってるふりをした。



「──でね、山下くんほんっとにキスうまいの!とろけそうだったぁ」



……あぁ、なんてタイミングで。

この甘くて可愛らしい声を私は知っているよ……。




「あははっとろけるってあんた…!ウケるんだけど!」


「いやー羨ましいわ。あたしも1年の頃、山下くんいいと思ってたんだよね〜」




お友達を2人連れて、笹川さんは中に入ってきた。


私は俯いて顔を隠す。



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