ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
その言葉を最後にムシした。

翌朝スマホをタップすると、真綾と聖からこんなコメントが入ってた。



『会おう!』
『話聞くから!』


女子の友達って有難い。
ヘコむ暇を与えてくれないと言うか、感傷に浸る間もないと言うか。


『ありがとう。昨夜はゴメンね』


手を合わせて泣くクマのスタンプを押してみた。
30分もしないうちに真綾から電話が入った。



「3時に会おう!駅前のスタバで。聖にも言ってあるから」

「オッケー」


あまり喋る気にもならずに切った。
寝起きにかかってきた電話に溜息を吐き、ベッドの上に転がる。



(あーあ……)


天井の蛍光灯を見ても溜息ばかりが出る。
私の妄想では、今頃は郁也の腕の中にいるはずだったのに。



(もう考えない。何度思っても同じだもん…)


郁也とは別れたんだ。
別れたワケではないか。
比べられてただけだ。


(なんか、ムカつく…)


胃袋の辺りが重い。
怒りすぎて胃がおかしくなったのかもしれない。



(違う。食べ過ぎたんだ……)


そうだったと思い出す。
昨夜はしこたま食べさせられたんだ。


(あの男、自分が言ったこと覚えてるのかしら)


サングラスをかけた顔が思い浮かんだ。
それから外して寄ってきた顔までが。




(ぎゃ〜〜っ!)


どうするよ、私。
よく考えたらあの変な男とキスしたんじゃん!

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