3つの約束
5 相談しない男
ソウダン?

頭の中がクエスチョンマークになりながら、
行きつけのインドカレーの店で春香は琉夏を待った。

私に何か相談することってあるのかな。

琉夏が?

私に?

いやいや、幼なじみだからこそ、言えることがあるのかもしれない。

(んー、もう、早くカレー食べたい〜)

「悪い。遅くなった」

席の角から姿を見せたのは、もちろん琉夏。

大人になってますますカッコよさに磨きがかかっている。

(幼なじみという立場だけでもいいのかも…)

好きだってどうしようもないこと、ってあるもんよね。

あーこれ聡子にきかせたい。

私、大人になってるー。

「春香?」

つい、自分の世界に入り込んでいた春香に、心配そうに琉夏が声をかける。

「あ、うん。大丈夫。はいメニュー。私もう決めたから。野菜カレーとナン」

クッと、琉夏がのどで笑った。

(何がおかしいのよっ)

「何かおかしい?」

「いや、別に。ここのカレー美味いよなぁと思ってさ」

「当たり前じゃん、行きつけ暦15年を更新したぐらいですから」

きどって言うと、琉夏が笑った。

(あ、かわいい)

照れ隠しに春香はもう一枚のメニュー表を琉夏につきつけながら言った。

「はやく頼めば。どうせチキンカレーとナンでしょ」

はっとした顔の琉夏と目があう。

「私、何か変なこと言った?」

「いや、それでいい。俺が頼むよ」











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