妖あやし、恋は難し



屋敷の執事らしいおじさまに連れられ、案内された広い部屋の中。

見るからに高価なテーブル、その前に並べられた椅子に腰を下ろした結は、自分のほかにそこに集まっていた人たちを見た。

黒いスーツに身を包んだ人が数人
動きやすそうなラフな服を着込んだ人
自衛隊のような軍服を着た人もいる

彼らは皆体格がよく、日頃から体を鍛えたり動いたりしている人だという事が窺い知れる。

そんな中、彼らと別に結の同業者のような人たちもいた。

誰だって一目で分かる。

それは服装に特徴があり過ぎるから。

袈裟を着た僧
水晶玉を持ち歩く怪しい布で顔を覆った占い師
何やら唸って幣を振り白い紙の束をバサバサさせる神職

それはもう、異様な雰囲気だ。

結でもそう思うのだから、耐性のない前者の彼らはキツイだろう。

ほら、ほとんどの人が引いているではないか。

むしろ見ないように、視界に入らないようにしてる。

(私は静かに黙ってよう…白い目で見られるのは出来るだけ避けたいもの…)

結は心の中でそんな事を考えていた、肩身を狭くしながら。

それなのに


「陰陽師?は、なんだそれ。本気で言ってんのか?」


彼女の背後でその声の主は悪びれるでもなく、確かにそう言った。

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