恋に落ちる3秒前


「コーヒーで良いか?」


「うん!ありがとう」


「すみません、コーヒー2つ」


「樹、コーヒー飲めるようになったんだね」


「えっ?」


「だって、ブラック飲めなかったでしょ?」


「よく覚えてるな。俺の事、好きじゃないのに」


「.........好きだよ。今も......」


「麗咲......」


俺は、手を握ろうとした。

でも、分かり易く逃げられて、もう、あの頃には戻れないんだって分かった


「樹、また大きくなったんじゃない?」


「あぁ、今、190位」


「そっか!モデルやってるんだよね!人気なんでしょ?」


「運が良いだけだよ」


「パリコレ出るんでしょ?凄いよ!
でも、樹が、どんどん雲の上の人になっちゃうね」


「......俺は、ずっと側に居れる。もう、強くなったから」


「ふふっ、冗談止めてよ」


「本当だ。俺は、もうあの頃の自分じゃない」


「止めてって言ってるじゃん!」


「.........麗咲?」


「ごめん。大声出して...」


「いや、俺こそ悪い。もう、忘れないとな」


「うん.........」


「これからは、良き理解者としても、仕事での良いパートナーとして、お互い頑張ろうな」


「うん、そうだね!」


「あっ、悪い。俺、用事あるから、先に行くな!」


「うん、じゃあ、私も帰るよ」


「そうか?じゃあ、家の車、乗っていくか?」


「大丈夫!」


「じゃあ、歩いて行くか」


「うん!」

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