恋に落ちる3秒前


『嘘だよ。

樹に会いたい。
樹の笑顔が見たい。
樹とずっと一緒に居たい。
樹の側に居たい。

辛いよ。

立派な奥さんになるように、学校は辞めた。
それに、習い事も増やした。
綺麗になるようにした。

でもね、旦那さんは樹みたいに優しくなかった。
樹の優しい声で、優しい笑顔で褒めて欲しいよ。

「麗咲、頑張ったね」って。

でも、もう樹は、私の事なんか忘れちゃったよね。

ねぇ樹。
私、ちゃんと彼女出来てた?
私、樹の事、ちゃんと愛せてた?

私の事、少しでも好きで居てくれた?

こんな事、目の前で聞いたら、困るだろうと思って、全部手紙に書いてみた。

ごめんね

ごめん
本当に、ごめんなさい

この恋は、叶わないって、最初から分かってたの

でも、諦めきれなかったよ。

だって、歳を重ねる毎に、樹はカッコよくなっちゃうんだもん。
だから、私は、幼馴染みっていう武器を使って樹の事、縛ってたかもしれない。

私も少しは大人にならないとね。









樹、助けて。

手紙を書いてるだけなのに、涙が止まらないよ。
こんなに好きなのに、伝えられないの。

樹が大好きなのに、大嫌いになろうとしてる自分が、1番嫌い。




私、この前、夢で事故にあったんだ。

樹が子供を助けて車にはねられそうになるの。

ここで助けたら、樹とまたやり直せるんじゃないかって思って、助けたんだけど、上手く行かなかった。

それから、ずっと同じ夢を見るの。

私、本当に事故に合っちゃうかもしれない。

でも、その時は、絶対に泣かないで。
樹は、いっつも仏頂面だけど、笑うと可愛いんだから!

折角カッコイイんのに、幸せそうじゃなかったら、勿体ないよ!

私は、辛い時に隣で笑顔で居てくれる樹が大好きなんだから!

どんな時でも、人に優しく、前を向いて!

私は、ずっと、樹の味方だから。


樹の事を誰よりも愛してる、麗咲より』
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