竜宮城に帰りたい。



居間に向かうと、置き手紙がしてあった。


『ゆかりちゃんと
お買い物に行ってきます。
おなかがすいたら
冷蔵庫の中のものを
食べてください。』



この様子だと、おばあちゃんは晴たちの誘いをちゃんと断ってくれたようだ。


顔を洗い、昼ごはんを食べ、歯を磨いて着替え、

私はビーチサンダルを足に引っかけた。



止まっていちゃダメだ。

それじゃ、今までの私と何も変わらないじゃないか!



自転車にまたがり、

ギーギーと音を鳴らしながら、

私は浜へ向けて走り出した。



浦島太郎の浜だ。


晴や瑞季ちゃんと今まで通りじゃなくなったなら仕方ない。


そういうものだと受け入れるしかない。


心の切り替えのためにも、あの海を見ておかなければいけない気がした。




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