カナリア
タオルは奪われたので、店員さんにコーヒーを注文する。


手持ち無沙汰になって、一人で気まずくなっていると、文太君が話しだした。


「自己紹介まだだっけ。」


「あ、私カナです。」


「知ってる。おれは文太。M大学教育学部1年。えーっと、誕生日は4月4日の牡牛座、A型、趣味も特技もなし。」


「教育学部なんですね?」


「そうだけど。」


「へー……えっ!?文太君のところの教育学部って凄く偏差値高いですよね!?私でも覚えてるくらいだし!」


「まあ、低くはないんじゃない。」


「頭がいいんですね!!!」


「頭がいいわけじゃないだろ。受験勉強が出来ただけ。」


「うわー……。そんな台詞言ってみたい!」


「あんたは?」


「あ、心理学科です。」


「なるほど。」


「えーっと、じゃあ普段は何をしてるんですか?」


「大学で受講してレポート書いて提出してテスト受けてる。」


「真面目なんですね。」


「学生が勉強に励むのは当たり前だろ。馬鹿じゃないの?」


「うっそのその通りです……。でも、ほら、他の事もちょっとしたいと思いません?」


「思わない。」


文太君は、勉強熱心な人のようだ。



「何か、好きなものはありますか?」


「ない。」


ばっさり、即答されてしまった。


「えっないんですか!?」


「あんまり頓着ないだけ。おれは、勉強できる環境があればそれでいい。」


「勉強が好きなんですか?」


「あー……別に。でも、勉強する事によって色々変わったのは違いないから、じゃあそれでいいや。」




暫く他愛もない話をしていると、文太君が時計を見て言った。


「あ、ごめん、時間やばい。次の授業あるから。」


「こっちこそ時間ないのにすいません……!」


「ん。あと、次から敬語ナシね。」


「えっ」


「返事は?」


「う、うん……。」


「ありがとう。

……っと、次、誰に会うんだっけ?岡目と木場にはまだ会ってないよね。連絡しておくから、どっちから先に会う?」


「えっと、どっちから……文太君にとって二人ってどんな感じ?」


「うーん。まあ、みんな同じ事を思ってそうだけど。
岡目は不器用で面倒くさい奴、木場はマイペースで面倒くさい奴、かな?」


……文太君含め、彼らはなんだか個性的なようだ。仲良くやっていけるだろうかと少し心配になる。


「うーん、次は岡目君かな。」


「じゃあ、おれから連絡しておく。少しだったけど楽しかったよ。また時間ある時に。」



本当に楽しいと思ってもらえたのかは疑問に感じつつも、その日はそこで解散した。


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文太:もっとクソ真面目な子が来るかと思ってたけど今時な子な印象。きょうは顔見せ程度で終わったから、今後随時報告してく。
セイ:@文太 ね~今風って感じでかわいい子だよね~~
岡目:@文太 なあなあお前の好きなフルーツオレ?また店長からもらったから冷蔵庫いれておく
セイ:@岡目 文太ばっかりずるいヽ(`Д´)ノ俺ももらいま~~す。
木場:@岡目 僕ももらいま~~す。ヽ(`Д´)ノ
文太:@岡目 ごめん。おれまでたどり着かなかった。
文太:@岡目 あと、本題。次、岡目に会いたいって。
岡目:@文太 了解。
岡目:@文太 フルーツオレさ、そいつ……カナ?に渡して文太に次会うときに渡してもらった方がいい?家の冷蔵庫入れてたらあいつらに飲まれるじゃん?
文太:@岡目 ごめん、そんな頑張らなくていい。気持ちだけもらっておく。あと気色が悪い。
セイ:@岡目 ケーキ買ってきて。
木場:@岡目 じゃあ僕も。
岡目:@セイ@木場 (--)凸
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