桜の花びら、舞い降りた
確約のない約束


決行を明日に控えた日の朝、私は圭吾さんに誘われて雪が降り出した外へと出た。

太陽は雪に遮られ、厚い雪雲の上で行き場を失っている。
一向にやむ気配はない。
俊さんが言うように、このあと本当にこの雪が止むのか疑問だった。

もしもこのまま止まずにずっと寒いままなら……。
そうしたら、圭吾さんは明日過去に帰れない…?
私のそばにいてくれる。

――私ってば、なにを考えているのか。
圭吾さんの気持ちも考えずに。
私は頭を振って、邪な考えを追い出そうとした。

あてもなく歩いた私たちは、小さな公園へ来ていた。
空模様のせいか、子供たちの姿はどこにもない。
遊具の上にも雪が積もり、公園全体が生クリームを被ったケーキみたいだった。


「あ……こんなところに……」


圭吾さんがふと、大きな木の根元に座り込む。


「どうかしたの?」

「この花………」


圭吾さんが指差したのは、地面に向かって花びらを開いている真っ白い花だった。

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