私はそれを見るたびに貴方を思い出すでしょう
緑のこと
慌てて後を追うと、緑が急に立ち止まり

「そういえばお前…服それしかないんだよな?」

私が頷くと、

「ここは寒暖の差が激しいから、コートか何か持っておいたほうがいい。
どんなのがいいか言ってくれれば、俺が作る。」

緑はそう言った。真顔で。

「緑、服作れるの?」

「ああ、大抵の物は作れる。
まずは、布を持って帰らないとな。」

え…布?

「布なんて、どこにあるの?」

「行けば分かる。」

そう言う緑の後を追うと、目の前に大きな建物が見えた。

「さてと…どんな服がいいんだ?
コートかジャケットか…。」

言いながら建物の中に入っていく。

中には沢山の手芸用品があり、そのどれもがキラキラと輝いていた。

そんな光景に目を瞬かせていると、

「この中から好きなの選べよ。
どれでも作ってやる。」

緑は私に一冊のパンフレットを渡した。

パラパラとページをめくると、

たくさんの種類の服の写真が載っていた。


その中の一つに、

首元と手首にファーがついた、真っ白なコートがあった。

「あ…、これがいい。」

私は自分でも気がつかないうちにそう呟いていた。

「これか?お前、白好きなんだな。」

言われてみれば、今着ているワンピースも真っ白だ。

「じゃあ、これとこれと…。
あ、これもいるな。」

ブツブツ呟きながら、緑は材料を用意していく。

その時、私は一つ疑問を持った。

「…ねぇ、何で緑って髪伸ばしてるの?」

美しい黒髪を結っていることに理由はあるのだろうか。

「……透愛は、」

緑は自分の髪を触りながら、切なげな表情でこう言った。

「切ったほうがいいと思うか?」

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