風便り〜大切なあなたへ〜





私と風香ちゃんは、一限目の授業をサボった。

私はこんなに弱っている風香ちゃんを、ほっとけなかった・・。

二限目からは普通に授業に出たけど、やっぱり風香ちゃんはずっと元気がなかった・・。



「風香ちゃん、一緒にお昼食べよう?」



私はお昼になると、風香ちゃんに声をかけた。

いつもは涼くんのクラスでお昼を食べている風香ちゃんだけど、別れたんなら、行けないよね・・。



「真子ちゃん・・」


「大和、今日は教室でお昼食べよう?」



私は大和を見上げた。

大和は優しく微笑んでくれた。



「しょうがねえな」


「・・・守屋くんって、態度も口も悪いけど、意外と良い人だったんだね」



そう言って風香ちゃんは、小さく笑った。

私は少し安心した。


今日初めて、風香ちゃんの、ちゃんとした笑顔を見た気がする・・。

やっぱり大和って、すごいな・・。



「うるせえよ。そんなこと言う奴には、もう真子は貸さねえからな」



大和はぶっきら棒にそう言うと、私に抱きついた。

私は恥ずかしくて、俯いた。



「やめてよ、大和・・私、物じゃないよ・・」


「知ってる・・お前は俺の、たった一人の、愛する人だからな」



大和は周りに聞こえないくらいの声で、私の耳元で囁いた。

私はぎゅっと目を閉じて、顔が熱くなるのを感じた。



「大和の、バカ・・」


「二人はいつまでもラブラブだね・・ちょっと、むかつく」



言いながら、風香ちゃんは笑った。



「悔しかったら、もっと自分を大切にしてくれる奴を、探すんだな」


「・・・うん、そうだね」



そう言って風香ちゃんは、悲しそうに微笑んだ。


大和・・。

やっぱり大和は優しいね・・。

ぶっきら棒に言ってるし、言葉使いも悪いけど、その言葉に、大和なりの優しさが溢れてるよ・・。

風香ちゃんも、今の大和の言葉が、胸に響いたみたいだよ・・。


私は大和に離れるように言うと、机にお弁当を広げて、大和にお茶を渡した。



「はい」


「おう」



そんな私と大和を見て、風香ちゃんは可笑しそうに笑った。



「もうすっかり、長年連れ添った夫婦みたいだね」


「・・・」



私は、恥ずかしくて俯いた。



「うるせえよ」



大和はぶっきら棒に言うと、ハンバーグにお箸を突き刺して、口に入れた。





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