恋する姫

聖羅に会いたい。

その気持ちを邪魔するのは、アイツ。

“松 拓李”

今の聖羅の婚約者。

「晴貴さん??」

「えっ?あ・・・」

またやっていまった。

「やっぱり具合が悪いんじゃ・・・」

これ以上柚季ちゃんを心配させたくは、ない。

「あぁ・・・うん。少し頭が痛いんだ・・・・」

得意の演技で場をごまかす。

「大丈夫ですか?!少し横になって休んだ方がよろしいと・・・」

オレの嘘を本気で信じている。

「あぁ。ありがとう、柚季さんはうつったらいけないので帰って下さい。」

「え・・・・」

眉を八の字にして困った顔をする。

「大丈夫です。子供じゃないですし」

「え・・・・えぇ。わかりました」

柚季ちゃんは、ワンピースを翻しながら去っていく。

ごめん柚季ちゃん。

去っていく背中を見ながら心の中で呟いた。

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