涙色花火
翼side
───ザザァ……
ザザザーッ───……
「「……」」
どれくらい、こうしていただろう。
波の音だけが、俺らふたりをつつみこんでいる。
おたがいに、
なにもはなさずに時間だけがすぎさっていく。
あれから、映画には行かずに、
そのまま海にやってきた。
あたりまえだけど、
あんな状況で行けるわけがなかった。
結優奈の中学の同級生の、
神ってヤツのことばがあたまからはなれない。
……翔陽が、死んでる……?
あたまがついていかない。
ひとりグルグル悩んでいると、
となりでひざをかかえてすわる結優奈が
口をひらいた。
「……だまってて……、ごめんねっ……」