空を祈る紙ヒコーキ

「その顔何? 変なこと言ってるってことくらい分かってるよ。動物が楽器弾くなんて普通はありえないし」

 私なりに場を和ませるジョークを言ったつもりだったけどそれに気付いてもらえずあからさまに不思議な物を見る顔をされて嫌になった。普段は察しがいいのにこういうのは鈍感なのかな。

「違うよ涼。そうじゃなくて……」

 空はためらいがちに言った。

「さっきの子って、何のこと?」

 ボケるにしてはわざとらしい。

「さっき高台で空が助けてた小さい子のことだよ」

「高台で……?」

 たしかな違和感が嫌な感じで胸に広がり全身に満ちていく。何? この会話。

「虹、綺麗だったな。あの高台はここへ引っ越してくる前からよく行ってたんだ。でも、子供のことは分からない。ごめん……」









たしかな違和感(終)

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