拗らせ女子に 王子様の口づけを
拗らせ女子の初めて

思いっきり、油断してた。
びびったぁー……
びっくりしたよ本当。

なんで設計の送別会に奏ちゃんが来るのよ。

一瞬合わさった視線はすぐに離されて、奏ちゃんは濱本主任のもとへと行った。

騒がしい宴会のなか途切れ途切れに聞こえた会話で濱本主任と奏ちゃんが仲が良かったことと、三嶋課長に誘われて来たことを知った。

そうか、今日の午後は奏ちゃんと三嶋課長は二人で出掛けていたな。

あの一瞬で跳ね上がった心臓がようやく収まってきた頃遠くから私に向かう視線の気配を感じる。

方向的には奏ちゃんからで。
臆病な私はそれを確かめることが出来ずに三矢へ絡む。

気になる。
気になるけども!振り向けない。

不自然なまでに動揺する私にテンションの高い酔っぱらいの同僚たちがお酒を持って注ぎに来た。

これは、飲もう。
飲むしかない!

「ありがとうございますー」と、ぎこちなく笑いながら勧められるがまま口にする。

飲む度に、気配の先から剣呑な雰囲気を纒だした。

あれ、駄目?
これ駄目だった?

もう心中パニックだ。
緊張から恐怖に。
今度は恐くて振り向けない。
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