拗らせ女子に 王子様の口づけを
「分かった。じゃあ、近くの駅で降ろして?このまま行った方が早いでしょ?」

「ごめんな。家まで送るぞ?」

「ふふふ。いいよ、言ったでしょ?家の前の道狭いから、駅のが助かる」


申し訳なさそうに眉を下げて、頭を撫でてくれる。
充分だ。
これまでの事を思ったら、奏ちゃんのお誕生日を一緒に祝えるなんて夢みたいなんだ。
欲張るな、私。

奏ちゃんを安心させるように軽口を叩いて、気持ちよく送り出す。
感情を圧し殺すスキルはこの何十年かの賜物だ。

にっこり奏ちゃんの好きな笑顔を貼り付け、又行こうね、と一言添えた。
これで、 奏ちゃんが私に思う罪悪感も半減するだろう。

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