2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Eighteen --**



「ほんとにごめん」


俺がそう言うのが先か、それとも香織が手を放すのが先か。


そんなのは一瞬のことで分からないけど、俺は言い切るのと同時に走りだした。


河川敷にある住宅街を抜けて、
角をいくつも曲がって、
大通りに出て、
遠くにそびえ立つ病院へ……。


『ヒュ〜ッ!……ド〜ン!』


また花火が上がりはじめた。
それを背中に聞きながら、暑苦しい夜の街を走り抜けた。


矢のようにとまではいかないだろうけど、心臓が弾け飛びそうなくらい全速力で走り抜けた。


目指す場所はただ1つ。
栞のもとへ……、それだけだ。





やっとの思いで病院へ着くと、息をつく暇もなく階段を駆け上がった。


エレベーターはどれも上で止まったまま。下りてくるまで待つなんて、それこそ時間のムダだった。


何段上った階段だろう。
息も切れ切れな俺の目に入った、屋上へ続く重そうな扉。


この扉を開ければ栞がいる……。
 

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