愛するほどに狂おしく
崩壊の高熱

40℃の高熱、割れるような頭痛に、ひどく歪む視界。
私は気づいたら病院のベッドにいた。
目覚めて横を見ると。
「理……。」
イスから私のベッドに伏せるようにして眠る理がゆっくり目覚める。
「ゆ、優里。よかった、目覚めたんだね。もう10時間も眠っていたんだよ。先生呼んでくるね。」
まだ左半身に残る温もりが、理の優しさとその時間の長さを表していた。
しばらくの療養を経れば退院できるということで、回診はすぐに終わった。
ふと気づくと、ツギハギでできた小さなゾウのマスコットが握らされていた。
「それ、兄さんからだよ。」
誠が?
「すぐ仕事戻らなきゃいけないからって行っちゃったけど、優里が倒れたって聞いてすぐ飛んできたぞ、兄さん。だから心配すんな、ちゃんと愛されてるんだよ。それ、今いる国じゃ神様の分身だとかなんとかの御守りらしいぞ。」
そう残して理は飲み物を買いに席を立った。
誠が私を想って飛んできてくれた、そのことが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
これが私自身を崩壊させるとは知らずに。
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