苦しくて、愛おしくて






え。

おめでたって…。


「妊娠したってこと?」

「そうよ」


夕飯のコロッケをもそもそ咀嚼しながら「へえー」と棒読みに近い相槌を返す。


次も男の子だったらどうしよう。

そんな思いから、2人目を作るのにこんなにも年月がかかってしまったらしい。


でも私からしたら、そんなの生まれてきた凛に対してすごく失礼な気がして、憤怒すら感じる。

違うって分かってるけど


女の子が欲しいなんて、そんなのさ

男の子が生まれてガッカリって言ってるのと、おんなじじゃないかな。


「こないだ、凛くん遅くに家に来たじゃない?」

「あぁ、DVD観たときね、うん」


思い出してもムカつくやら意味不明やらで、4日経った今でも消化しきれない感情を抱えていた。




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