苦しくて、愛おしくて




「鬼だな、おまえは」

それを、しかもこんな日に
肺腑に沁み込ませてくるとは。




コレはきっと、奈央にとって害なんだな。


奈央に触れたいと思うこの感情も

奈央を独り占めしたいと疼く欲望も


幼馴染の関係で満足していない俺の胸間も。



要らないのか、この関係には。



「…、」


肩下まで伸びた髪に指を滑らせると、困惑に顔を歪ませる奈央の反応を見て



「……やめた」


いよいよ心が挫けた。



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