苦しくて、愛おしくて




「終わったら遊ぼ」

「いいよ」

「あと凛の行きたいとこ行こ」

「じゃ焼肉食べ行きたい。奈央の奢りで」

「焼肉いいね! けど金は払え」

「ケチくせー」

「黙りな」


ぐいっと口許までマフラーを
引き上げて無理やり黙らせる。


それに挑発された凛は、仕返しとばかりに私のマフラーに指をかけると、同じように引き上げる。


「「っ」」


その瞬間、フニッと唇に
凛の指が当たった感触がした。


「、」

バッと、瞬時に指を離され

その衝撃で身体が反動的に一歩下がる。


「寝る」

「あ、うん。おやすみ」

「おやすみ」


凛は何事もなかったフリをして家に入っていった。

私は尚もその場に立ち尽くしたまま、たった今起きた出来事を頭の中で再現する。



「……」


りん

耳だけ真っ赤っかだったな。




「(かっわいい〜)」



不覚にも萌えた。



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