愛は尊い

家族



その日、操さんは
いつもより早く帰ってきた

いつもより、早く
それは私に話すため
少しばかり顔が強張っているようにも見え、勝田さんもいつもより静かだ


まだ9時にもなっていないのに
勝田さんは帰って行った
食事もお風呂も済ませていない操さんは
リビングのソファに座り
音、と私を呼んだ


話をするんだと理解をし
一つ開けて、操さんの隣に座った


カチカチ、と
アンティークの時計の針の音が
やけに大きく聞こえた



「今日はすまなかった」


そう話し出した操さん
私は首を横に振った
別に操さんが悪いわけじゃない
だから、謝ってほしくわけじゃない


「彼女…、果歩さんの話は聞いたか?」


どう返事をしたらいいか…
わからず黙ってしまった


「いい、勝田から聞いたのは報告済みだ。別に責めているわけじゃない」


怒っているわけじゃないと理解すると
少しほっとした

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