【短編集】その玉手箱は食べれません
男の子は知る由もありませんが、我が者顔で勝手に住んでいた野良猫が台所にあった鍋をひっくり返した音だったのです。
自分の家に帰ってからも心臓の鼓動は治まりません。
盗むつもりはなかったのに結局は盗んでしまった罪の意識を将来の夢を成し遂げるための第一歩として心の中で踏んづけました。
男の子は妄想をふくらませ、自分が有名な画家になった姿を想像しました。
願いをこめて筆にフゥ~と息を吹きかけました。
<了>
第八話へ