【短編集】その玉手箱は食べれません


 娘も娘だがひと言も謝らない妻もどうかしている。


 意地の張り合いがこじれると収拾がつかない。


 特に女同士は……。


 一年後、唐突に娘が帰ってきた。


 最初に娘を見たとき、誰だかわからなかった。


 眩しいくらいの金髪、化粧も服装も派手でまるで別人だった。


「いま、どこに住んでいるんだ?」

 おれは心配になって訊く。


「日本という小さな島国」

 娘はメンソールのタバコをくわえながら答えた。
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