恋色流星群


その時、部屋に鳴り響いたベルの音で跳ね起きる。


チョコ!来た!
え、けど開け方ってどうするんだろう?!

インターホン・・・らしきものに近づいて、丸いボタンを押せば。




モニターいっぱいに映る、大きなマスクとキャップの間から覗く。

つぶらな、懐かしい瞳。




思えば、チョコに会うのもハワイぶりだ。

お蕎麦の約束も、予想を遥かに超えたチョコの忙しさにまだ決行できてなかった。



思わず声を出して名前を呼びそうになって。慌てて口を押さえて、開錠のマークを押した。

グッと親指を立てて、モニターから消えて行く彼。






危ない。

万が一、planetの千代剛の押したインターホンから、女の声が聞こえたりしたら。
明日の芸能誌の一面ニュースになってしまう。


・・・って、さっき道端で
航大にしがみついてワンワン泣いてしまったんだけど。

あれは・・・まぁ、大丈夫か。相手(私)が一般人だから。







一人都合よく解釈できると、急に首で動いた柔らかい唇の感触が蘇って。





“よかった、今日来て”




甘く掠れた声。

私はまた慌てて、ふるふると首を振った。
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