恋色流星群


車が止まったのは、見覚えのある風景とタワーマンションの前。


『あれ?ここ・・・』

「見たことない?」

『ある。え?ここって。』


窓から見える夜の景色をきょろきょろしていると、ふわんと頭上に降りてきた手の平。


「だから、理沙子の家と近いって言ったろ。」


到着した要邸は、私の城から徒歩圏内でも行けるほど。
よく知るご近所エリアに君臨していた。


だいたいこのタワーマンション、六本木に越して来るとき、私も気になってたし。
大きな窓に一目惚れして、今の城に決めたけど。
もし、ここを先に室内見学してたら、こっちに決めてたかもしれなかった。







「入り方、ちょっと面倒だからよく聞いてね___________」


渡された鍵を握りしめて。
確かにセキュリティ万全の、この建物に侵入するための経路を心得る。


『ややこし・・・。汗』


芸能人は、大変なんだな。
いつかの誰かの家も、突破するの難関だったし。
思わず口をついて出た言葉に。


「大丈夫だよ、俺でもできるから。笑
それに、」



耳元に落とされる、甘い囁き。



「すぐに慣れるよ。」



・・・!!
私、このままお世話になるなんて言ってませんからー!!汗

思わず仰け反って見上げると。




「あっは、可愛い。笑」




瞬殺笑顔が美しく舞った。

寿命を縮めるほどの、危険なジョーク。

これもきっと、彼の武器。


< 159 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop